AO 31B Garden分類(非転移型・転移型)

  • Garden分類とは
  • 4つのstage分類
  • 近年注目されている分類法
  • まとめ
  • 参考文献

Garden分類とは

Garden分類は1961年にGardenらが提唱した大腿骨頸部骨折の分類のことを指します。レントゲン画像の正面像のみでの形態評価をおこなうもので、側面やCT画像は原則用いることはありません。下の図は、Garden分類の4つのstageを示しています。

4つのstage分類

stage Ⅰ : 不全骨折

不全骨折のため、頚部内側には連続性があります。頚部外側は破綻しており、外反嵌入位をとっています。

stage Ⅱ : 転位のない完全骨折

stageⅠとは異なり、頚部内側も破綻し不連続となります。しかし、骨頭の傾きや転位はおこしておらず、主圧縮骨梁は整っています。

stage Ⅲ : 転移のある完全骨折、Weitbrecht支帯は残存

stageⅡと同様、骨頭骨片は遠位骨片との骨性の連続性が絶たれ、さらに転位が生じます。しかし、頚部内側にあるWeitbrecht支帯は温存されておりため、hinge(ヒンジ)があり、骨頭骨片は内反、後方回旋転位する。骨片同士で主圧縮骨梁は不整になります。

stage Ⅳ : 転移のある完全骨折、Weitbrecht支帯も破綻

stageⅡと同様、骨頭骨片は遠位骨片との骨性の連続性が絶たれ、さらに転位が生じます。加えて、頚部内側にあるWeitbrecht支帯も破綻し、hinge(ヒンジ)は消失、骨頭骨片は遠位骨片との連続性が完全に絶たれるので回旋転位は生じません。主圧縮骨梁の骨片同士で整っています。

近年注目されている分類法(非転移型/転移型)

なぜ、Garden分類ではだめなのか

Garden分類は検者間の不一致率が高く、誤差(ブレ)が大きくなっていました。また、上記の4分類のどれにも分類できない分類不能例があることから治療方針の決定に一貫性がないことが指摘されました。そのため、治療方針決定、予後予測をより明確化するために提唱されだしたのが、Garden分類を転移型、非転移型に分ける分類方法です。

これからの大腿骨頸部骨折の分類

非転移型:Garden分類 stageⅠ&Ⅱ

転移型:Garden分類 stageⅢ&Ⅳ

まとめ

大腿骨頸部骨折のレントゲン正面像での分類ではGarden分類が有名です。形態学的特徴から4つのstageへ分類する方法ですが、検者間一致率に誤差が大きく、近年では転位型、非転移型の2つに分類する方法が主流となっています。転位型の場合は骨癒合率が低く、偽関節や骨頭壊死リスクが高くなるため、人工物置換術の治療選択が推奨されています。

参考文献

1)Garden RS. Low-angle fixation in fractures of the femoral neck. J Bone Joint Surg Br 1961 ; 43 : 679-61

2)日本整形外科学会, 日本骨折治療学会監修. 大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン 2021 改訂第3版. 南江堂 : 2021 p10-11

3) 帖佐悦男. 大腿骨近位部骨折治療のエキスパートを目指そう. 関節外科 基礎と臨床 2021 ; 40 : 11: 1129-1151

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