はじめに
大腿骨頸部骨折の評価において、Garden分類での正面像による形態評価に続き、側面像での形態評価が重要です。その際に特に注目すべきなのが、大腿骨頭の「後捻角(posterior tilt)」です。以下に、Palmら¹)が提唱したposterior tiltの測定方法について説明します。
計測方法
- <MCL ; mid collum line>を作図する。
- MCL:大腿骨頸部の軸のことです。頸部の最狭部とその両側5mmの位置に水平に線を引き、それぞれの中点を結ぶことで作図します。
(※下図では、一部を改変して見やすく描画しています。)
- MCL:大腿骨頸部の軸のことです。頸部の最狭部とその両側5mmの位置に水平に線を引き、それぞれの中点を結ぶことで作図します。
- 骨頭中心から骨頭の輪郭に沿って円を描き出す。
- <RCL ; radius collum line>を作図する。
- RCLは、「MCLと骨頭の円周の交点」と「骨頭中心」を結ぶ線を指します。
- MCLとRCLが交わる角度が「後捻角(posterior tilt)」です。
臨床的意義
- 後捻が強いほど、再手術率(特に1年以内)が高いとされています。
- 筆者は、後捻角が20°以上の場合、人工物置換を選択する基準としています。
参考文献
1)Palm H, Gosvig K, Krasheninnkikoff M, et al. A new measurement for posterior tilt predicts reoperation in undisplaced femoral neck fracture: 113 consecutive patients treated by internal fixation and followed for 1 year. Acts Orthop 2009; 80: 303-7.