AO 31B : Pauwels分類

  • Pauwels分類とは
  • modified Pauwels分類の測定法
  • 3つのtypeと治療選択
  • まとめ
  • 参考文献

Pauwels分類とは


1935年にPauwelsら¹)が報告した、骨盤に対する水平軸骨折線のなす角度により骨折部にかかる剪断力が異なることを示す論文である。原著は以下の参考文献に記しておくが、原著はドイツ語で書かれており各種ツールを用いての熟読を推奨する。

modified Pauwels分類の測定法


測定法:原著は骨盤の水平軸に対する頚部骨折角を測定しているが、単純X線撮影時の患肢の角度や内外旋などでも容易に上記骨折角度が変化するので、筆者はWangら2)が提唱した、modified Pauwels分類を推奨している。

① 大腿骨軸を線描する

② ①に垂直な線を線描する

③ ②と頸部骨折線のなす角度を測定する

3つのtypeと治療選択

Type Ⅰ : 30°以下

Type Ⅱ : 30°以上50°未満

Type Ⅲ : 50°以上

Type Ⅰ・Ⅱ→剪断力は高度ではないため、簡便なcanulated cancellous screw( ; CCS)が推奨

Type Ⅲ→高度に剪断力が生じることがあり、固定力担保のためにはdynamic hip screw ( ; DHS)などを選択する必要がある

まとめ

Pauwels分類は骨折線の角度により骨折部に生じる剪断力が異なることを考慮した分類である。typeが上がるほど剪断力が上昇するため、type Ⅲなどでは角度安定性を持ったimplantを選択する必要がある。しかし、Garden分類と同様に検者一致率は高いわけではなく、臨床での使用に関しては議論の余地がある。さまざま分類を用いて症例ごとに総合的に判断していくことが肝要である。筆者はmodified Pauwels分類を用いて統一性を考慮している。

参考文献

1)Pauwels F. Einteilung der Schenkelhalsbrüche nachmechanischen Gesichtspunkten. In : Pauwels F, ed. Der Schenkelhalsbrüch, ein mechanisches problems : Grundlagen des Heinungsvoraganges Prognose und Kausal Therapie. Stuttgard :  Ferdinand Enke Verlag ; 1935. pp. 32-36.

2) Wang SH, Yang JJ, Shen HC, et al. Using a modified Pauwels method to predict the outcome of femoral neck fracture in relatively young patients. Injury 2015 ; 46 : 1969-74.

3)帖佐悦男. 大腿骨近位部骨折治療のエキスパートを目指そう. 関節外科 基礎と臨床 2021 ; 40 : 11: 1131-1151

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