【医師国家試験】骨腫瘍まとめ

はじめに


みなさん、本日も医師国家試験の勉強お疲れ様です。整形外科領域における骨腫瘍は、医師国家試験でも重要な出題分野です。骨腫瘍は大きく分けて良性腫瘍悪性腫瘍に分類され、それぞれに異なる特徴があります。以下、代表的な疾患を説明します。筆者も医学生のときは骨腫瘍に関してさっぱりわかりませんでした。一緒に学んでいきましょう。

  • 良性疾患
    • 骨軟骨腫 (外骨腫)
    • 内軟骨腫
    • 骨巨細胞腫
  • 悪性腫瘍
    • 骨肉腫 (Osteosarcoma)
    • ユーイング (Ewing) 肉腫
    • 軟骨肉腫
    • 脊索腫 (Chordoma)
  • その他の腫瘍
    • 類骨肉腫 (Osteoid Osteoma)
    • 線維性骨異形成(FD:Fibrous dysplasia)
  • まとめ
  • 参考文献

良性疾患

骨軟骨腫 (外骨腫)

  • 骨から軟骨で覆われた突出した骨組織ができる腫瘍。長管骨の骨端近くに好発し、痛みは少ない。X線では骨から突起状の病変が確認される。
  • 成長とともに消失することが多いが、大きくなる場合や神経・血管を圧迫する場合には手術で切除される。

内軟骨腫

  • 骨の内部に軟骨が増殖する腫瘍。通常は痛みを伴わず、偶然X線検査で発見されることが多い。手の骨や足の骨に好発し、複数発生する場合はエンドロンドローマ症候群と呼ばれる。
  • 稀に悪性化することがあるため、慎重な経過観察が必要。

骨巨細胞腫

  • 若年成人(20~40歳)に多く、関節近くの長管骨の骨端に好発する。局所的に破壊性が強く、痛み腫脹を伴うことが多い。X線では「soap bubble appearance(石鹸泡状)」と呼ばれる特有の像が確認される。
  • 良性腫瘍だが、局所再発や稀に肺転移を伴うため、手術による治療が必要。

<良性腫瘍まとめ>

悪性腫瘍

骨肉腫 (Osteosarcoma)

  • 小児から若年成人に多く、10代に最も発症しやすい。特に大腿骨や脛骨の骨幹端部に発生する。早期から痛み腫脹が現れ、進行が早いのが特徴。
  • X線では骨皮質の破壊やCodman三角spicula / sunburst appearanceが認められる。治療は手術に加えて化学療法を行い、場合によっては放射線治療も行う。

ユーイング (Ewing) 肉腫

  • 小児から若年成人に多く、10~20歳の長管骨や骨盤に好発する悪性腫瘍。骨髄内に発生し、骨の中から外へ広がることが特徴。進行が速く痛み発熱局所的な腫脹を伴う。
  • X線では骨の層状変化「onion peel appearance(玉ねぎ皮様骨膜反応)」と呼ばれる所見が特徴。治療は手術に加え、化学療法放射線療法を併用する。

軟骨肉腫

  • 成人に多い悪性腫瘍で、骨内部の軟骨から発生する。大腿骨骨盤に多く見られるが、痛みは比較的少ない場合もある。
  • X線では骨の内部に無秩序な石灰化像が見られることが多い。治療は主に手術であり、化学療法や放射線療法はあまり効果がないとされる。

脊索腫 (Chordoma)

  • 頭蓋底仙骨に多い稀な悪性骨腫瘍で、脊索の遺残組織から発生する。進行は比較的遅いが、局所浸潤性が強く、再発しやすい。
  • 治療は手術が主となるが、完全に切除できない場合が多く、放射線療法も併用されることがある。

<悪性腫瘍まとめ>

その他の腫瘍

類骨肉腫 (Osteoid Osteoma)

  • 小児や若年成人に多く、長管骨の骨皮質に発生する良性腫瘍。夜間に強い痛みを伴い、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が有効であることが特徴。
  • X線では小さな骨の核を中心に周囲の骨が硬化する像が見られる。治療は通常はNSAIDsによる対症療法だが、症状が強い場合は手術での摘出が行われる。

線維性骨異形成(FD:Fibrous dysplasia)

  • 若年者に多い疾患で、骨に一部が線維化して骨がもろくなる、比較的頻度の高い良性の骨疾患。単発性または多発性があり、多発性の場合はMcCune-Albright症候群と関連することがある。
  • X線では「ground-glass(すりガラス状)」と呼ばれる特徴的な像が見られる。治療は通常、経過観察が中心となるが、病的骨折が起こった場合は手術が考慮される。

【まとめ】医師国家試験でのポイント

  • X線像の特徴を理解し、疾患の診断を行えること。
  • 良性と悪性の鑑別が重要。
  • 年齢層や発生部位も診断に重要な情報であるため、適切に理解する必要があります。


これらの疾患に関する知識をしっかりと抑えることが、整形外科領域の骨腫瘍分野での試験対策に有効です。

参考文献

今日の整形外科治療指針 第8版

標準整形外科学 第15版

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